ID: 52
アトレイデス家
icon コーデックスブック

アトレイデス家の募集広告より
我らはアトレイデスなり。我らが応じぬ召集なし。我らは決して誓約を裏切らない。アラキスの平和は、我らに託された。アトレイデス家は、任務を受け入れよう!

だが、平和への道のりは、長く予測不可能で不安定だ。長引く暗殺戦が、数年にわたり続いている。支払う代償は大きい。だが我らはアラキスに、ハルコンネン家のアンチテーゼたる、名誉と恵みをもたらそう。ハルコンネン家はその毒牙で、行く先々を汚染し、触れるものすべてを汚そうと目論んでいる。

我らは勝利をつかむことができる。だが、諸君らの助けが必要だ。人には新たな経験が必要だ。内面の「何か」を揺さぶる経験が、人の成長を促してくれる。変化なくして、我らの内に眠るものは目覚めない。眠れる者よ、目覚めよ。アラキスで、新たな自分を見つけるのだ!

敵に包囲されても、我らは宣言しよう。我ら、ここにあり!我らはここに留まらん!

希望者は勧誘者まで!
アントン・トリバー中佐の日誌より
今日、新たな諜報員を失ってしまった。こんなはずではなかったのに。召集に応じたとき、我が公爵とダンカン・アイダホ殿のおそばで、全身全霊で華麗に戦うなどという、うぶな夢を抱いていた。究極の犠牲を払えば、ガーニー・ハレックの歌の中で、永遠に語り継がれる存在になれるのでは、と夢見ていたのだ。

だが、残酷な運命により、私は暗殺戦に巻き込まれ、軍事情報部門に配属された。私はこの腐りきった酒場で朽ちていくのだろう。日々、ごろつきの人材を探し求め、奴らをスパイ活動という肉ひき器に投げ入れる。日々、憎き宿敵のマクシム・カズミールの顔を拝まねばならない。日々、自分の行動が奴の行動に近づいてきているような気がしてならない。

頻繁に見る夢がある。鏡をのぞき込むと、マクシム・カズミールの顔が見つめ返してくる夢だ。今朝、鏡を割った。
レト公爵がレディ・ジェシカに宛てた手紙
ジェシカへ

一度恐怖を知り尽くしてしまうと、恐怖心は薄れるものだ。勇気というものの一端は、知識を広げることにある。わしは怖い。だから、その恐怖を知り尽くさねばならない。

我々の資源は、危険なほど減少している。ハルコンネンが何もせずじっと待っていたとしても、手詰まりのまま我々が出血死して、奴らの勝利となるかもしれない。だが、わしはそれを恐れているわけではない。領主会議の力関係は、ますます複雑に絡み合ってきている。だが、わしはこのことを恐れているわけでもない。黄金の獅子の玉座から、裏切りの可能性が見え隠れしている。だが、それを恐れているわけでもない。

わしが恐れているのは、帰属意識の死だ。暗殺戦が我が民から奪ってしまったもの...直接目のあたりにしなくてはわからない、決して再び満たされることない何か。戦争に勝利したとしても、その先で、我々は「アトレイデス」でい続けることができるのだろうか。このような恐怖を、民の前で見せることはできない。恐怖を打ち明けることができる相手は、お前しかいない。

生き残るだけでは十分ではない。民には、それ以上のものが必要だ。アトレイデスがアトレイデスらしくいるには、どうすればよいのだろうか。領家としての約束を、どう果たせばよいのだろう。

愛をこめて

レトより


ログインしてコメントする